福岡地方裁判所 昭和36年(レ)37号 判決 1961年4月13日
控訴人 越智一雄
被控訴人 檀上三郎
主文
本件控訴を却下する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
理由
控訴人は、久留米簡易裁判所が昭和三五年(ハ)第七八号売掛代金残請求事件について昭和三五年一二月二一日に言渡した判決の送達を同年一二月二九日に受けているから、これに対する控訴の提起は、其の翌日から起算して二週間内(昭和三六年一月一二日控訴期間満了)に第一審裁判所である久留米簡易裁判所もしくはその控訴裁判所である福岡地方裁判所へ控訴状を提起してこれをせねばならない。
しかしながら本件記録によれば、控訴代理人が右事件に対する福岡地方裁判所宛の控訴状を原審である久留米簡易裁判所へ提出したのは昭和三六年一月一三日であると認められる。従つて本件控訴はその控訴期間経過後の控訴であつて不適法でありその欠缺は補正することができない。
もつとも本件記録に徴すれば、控訴代理人は前記控訴状を小倉簡易裁判所へ提出したものであり、右は控訴期間内である昭和三六年一月一〇日であると認められるが、小倉簡易裁判所は本件事件について第一審裁判所でも控訴裁判所でもないから、小倉簡易裁判所への控訴状の提出によつてその控訴期間を遵守したことにはならないと解すべきであつて、本件控訴状が小倉簡易裁判所から久留米簡易裁判所へ送付されて、久留米簡易裁判所へ現実に到達した時を基準として控訴期間を遵守した控訴か否かを判断すべきである。
よつて民事訴訟法第三八三条に則り本件控訴はこれを却下すべきものとし、控訴費用の負担について同法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 安倍正三 宇野栄一郎 土川孝二)